簡単に踏み潰される人達
私の施設内で、一番笑顔の多い現場は、私の今いる現場だと自信をもっていえます。
毎日、笑い声が絶えません。私も毎日のように、腹のそこから笑わせてもらっています。
これまで、少しずつ少しずつそういうの周りに広げようとしてきました。周りの職員達も少しずつ変わってきてると思っていたのに。
そういうの、簡単に踏み潰されるんです。
ある利用者が、ずっと以前から、私に欲しい欲しいと言っていた物があります。ピンク色のピアニカです。以前広告のチラシに載っていたのを見つけて、目を輝かせて訴えました。
その方が自分から、コレが欲しいと訴えてきたのは、初めてのこと。私にその事を伝えてくれたのもうれしかったのですが、よっぽど欲しいんだろうなぁと思い、私はすぐに職員に頼みました。「この方が、こんなことを言ってくるのは、初めてです。買いに連れて行ってあげてください。」
職員もすぐに生活支援の方に話してくれて、連れて行ってくれることになりました。4月のことです。(ちょうど4月の入学フェアかなんかやってる時の広告だったので、覚えています)
私は、うれしくなって、翌日、現場を下見に行きました。そんでもって、その商品が棚に並んでいる写真を携帯で撮ってきて、その利用者の方にあげました。そしたら、その方はよっぽどうれしかったのか、その写真をどんな時も肌身離さず持ち歩くようになりました。「買いに連れて行ってくれる日までは、これで辛抱してね。ごめんね。」と言う気持ちでいっぱいでした。
今では、私が撮ってきた写真は、見すぎてボロボロになっています。なので、新しくメーカーのHPからカタログを印刷して、どんだけ見ても磨り減らないように、パウチしてあげました。
それが、まだ買ってもらってないのです。約束では6月に買いに行くはずだったのに。
4月に頼んで6月かよ。それでも、私は遅いと思っていましたが、まぁ、約束はしてくれたので、よしとするか・・・と自分を納得させていましたが。
先週のことです。それが伸びることになったのです。あと2ヶ月も。
私は、家に帰ってから泣きました。楽器一つ買うのに、なんでそんなに待たされなくちゃいけないのか。しかも、6月にいけるって楽しみにしていた利用者の気持ちを裏切ってしまうことに、本当に情けないのと、申し訳ない気持ちで、涙が溢れてきました。
職員に時間がないなら、私が行ってもいいのですが、買ったら買ったでどこで演奏させるかとか、吹く時間とかどうするかを決めなきゃいけないから、そういうのに、人手がまわせない。って言うんです。そんなのどうでもいいだろ、まずは与えろよ。
そうして、その方の希望は、また伸ばされることになりました。
利用者のささやかな希望なんて、簡単に踏み潰されます。
施設とは、そういうところです。
そのうち、誰も希望すら持たなくなってきます。あきらめることに慣れてしまうのです。その方も、これまで、色んな事を諦めさせられてきました。彼は、自分の希望を、おそらく、私にだから伝えてきたんじゃないだろうかと思っています。それを、私は裏切る結果となってしまいました。
私は、毎日のように、利用者の方々に詫びています。
自分の不甲斐なさに本当に申し訳なく思います。
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